PHILOSOPHY

’装う’ ということ

こんにちは。毎日育児に追われている鬼久保です。

毎朝毎朝、さて今日の洋服は何か、、、と悩んでいる人はきっと大勢いると思います。今日はあの用事があるからコノ服で、とオケージョンをイメージし決めているのではないでしょうか。では、皆さんにとっての洋服とはどんな存在ですか?綺麗に魅せてくれる道具?仕方なく着ているだけ。。etc..

私は装いをとても大切だと考えています。

現在のKNITOLOGYのデザインの根源にもなっている、’装う事’の重要性に気付かされたエピソードがあり少しご紹介いたします。

前回の記事にも記述しているのですが、私がファッション界に悶々としている大学生時代に、「ワーキングプア」に出会い、日本の貧困問題を調べていた時期があります。そして大学の卒業論文に日本のホームレス問題とエコロジーを掛け合わせた論文(少し斬新ですが、、)を書きました。

今でも大学の卒業論文は自信作です。

その当時2004年頃ですが、巷ではエコバックやオーガニック製品などが沢山でてきており、ファッション界でもエコが大きなブームになっていました。

私ももちろん生物が大好きで、今でも10個以上の水槽をもっています。自然にも毎週末のように子供達と出かけ、小さな頃の夢は「ナウシカ」になること、というぐらい自然が大好きです。

ただ、その当時のエコブームがなぜか私には滑稽に見えて仕方ありませんでした。なぜなら、都内の高級ブティックが並ぶ繁華街を一歩道を変えれば、ホームレスが沢山いて、当時の調べでは年間38人の路上死者がいたのです。こんな先進国で、こんなにキラキラと輝いている街でです。

ブームになっているためエコバックに並んでまで買う顧客がいる。一方で、同じ街の中に路上で死んでしまうホームレスがいる。

エコロジーってなんだろうか。私はとても考えました。人の貧困の上にエコは成り立つのだろうか。もはやブームになり安価に売られているブランドのエコバックと呼ばれるもののメリットは何なんだろうか。。。

そんな疑問を問いかける意味でも、しっかりと現実を知りたい。そこで日本のホームレスのエコロジーな生活というテーマで論文執筆をはじめました。

そこで、大学の長期休みを利用してホームレスへ向けたボランティアに参加しました。

恥ずかしながら、参加するまでの私は身体の色んなところにボディーピアスがあいており髪型も奇抜で、ぱっと会った時の印象はそれはそれは斬新ざったでしょう。その時に初めて’装う’ということに向き合いました。

自分の好きなものだけで身を固めたファッションを着てホームレスの皆さんに真剣に向き合ってもらえるのだろうか。。。気持ちは真剣だけど、信じてもらえるのだろうか。。。

もしかすると初めてだったかもしれない。人の為に見た目の’装い’を考えて、何を相手に伝いたいのかを真剣に考えたのは。その時に身体の全てのボディーピアスを取り、髪の毛を整え、何てことの無い洋服を選びボランティアの現場へ向かいました。

これが私の装いの始まりです。

’装い’とは相手に対しての敬意の表れであるのかもしれない。と私は考えるようになりました。

今KNITOLOGYで作っている洋服は何てことの無い洋服。

ぱっと見ればさして特徴も目立たない

そんな洋服です。

でも、そのことがどんなに重要なのか、私はそこに強い信念を持ってデザインしています。襟を正す。敬意を表す。整える。それが私にとってのファッションの楽しさになりました。

結果的にボランティアの現場では、皆さんと沢山お話ができました。悩みを聞いたり、自分にとってかけがえのない経験をさせて頂きました。路上で一人年を越す方たちに手作りのお守りを渡すと、皆さん本当に喜んでくれたのを今でも鮮明に覚えています。

私に ’自分とは何か’  ’ファッションとは何か’  を教えてくれた皆さんに今でも感謝しています。

自分の国で起こっている社会問題を私はファッションを通して少しでも力になりたい、と強く思ったのが全ての始まりです。